本の基本情報(タイトル・著者・ジャンル)
タイトル:十角館の殺人(じっかくかんのさつじん)
著者:綾辻 行人(あやつじ ゆきと)
出版社:講談社
刊行年:1987年
ジャンル:新本格ミステリー
シリーズ:「館」シリーズ第1作
他の館シリーズについて
刊行順にそれぞれ以下の通りとなっています。
- 十角館の殺人(1987年)
- 水車館の殺人(1988年)
- 迷路館の殺人(1989年)
- 人形館の殺人(1990年)
- 時計館の殺人(1991年)
- 黒猫館の殺人(1992年)
- 暗黒館の殺人(2004年)
- びっくり館の殺人(2012年)
- 奇面館の殺人(2012年)

おすすめな人
この本は、正直全員に読んでほしいくらいミステリーのバイブル的存在です。
しかし、あえておすすめな人を選ぶならば、ミステリーに興味があり、450ページの長編を読むことができる方です。
また、「そして誰もいなくなった」を読んだことある方は、特におすすめです。
大きく話に出てくるわけではありませんが、
より楽しめる登場人物の会話があるので手に取ってみてはいかがでしょうか。
読む前の不安点
おそらく、本をあまり読まない方やミステリー初心者にとっての障壁に、
・状況のイメージ
・登場人物の名前が覚えられない
という不安があるでしょう。
前者は、島や十角館の様子もイラストが途中にあります。
十角というイメージの難しいものも平面図にすることでイメージがつかめるので問題ないと思います。
後者は、メモ帳に名前を書いてしおり代わりにするなどの対策を取るとよいです。
私の場合、この本では問題なかったのですが、「そして誰もいなくなった」を読む際、
どうしても横文字の名前が覚えられず、
ハヤカワ文庫の表紙の折り返し部分(”そで”と言うそうです)に名前が書いてあったので、
何回も読み返しました。
また、ページ数が450ページほどありましたが、
実際には読むのにそこまで時間が掛からなかった気がします。
旧版と改訂版の違い
新装改訂版のあとがきを参考に、
内容の変更は大きな変更ではなく、旧版よりもきれいで読みやすく別物感のないテクストにしたそうです。
そして、表紙の作者が故辰巳四郎先生から喜国正彦先生に変更になりました。
<旧版>

漫画化・ドラマ化
私は小説しか読んでいませんが、これが漫画やドラマになるなんて未だに信じられません。
漫画化について
アフタヌーンコミックスで漫画が5巻ほど刊行され、すでに完結しています。
キャラクターのイラストが小説のイメージにあっていてめちゃくちゃかっこいい…
ドラマ化について
こちらはhuluで5話ほど放送されています。

ちなみに2026年2月から時計館の殺人もhuluで独占配信されるそうです。
ちなみに、時計館の殺人は館シリーズの5作品目で、最高傑作と評されています。

感想
まず、登場人物が特徴的で全員好きになりました。
物語は、大学ミステリ研のメンバーが孤島に行くという王道展開で、
このミステリ研のメンバーの愛称が海外ミステリー作家の名前でお互い呼ばれています。
一例として、
代表作「そして誰もいなくなった」のアガサクリスティー、略してアガサ
と呼ばれて登場しています。
もちろん、海外ミステリー作家の名前を知らなくても楽しめます。
話の流れは、本土と島で交互に展開されていて、
とても分かりやすく迷わずに読み進められました。
”あの1行”の衝撃というキャッチフレーズも
当然のようにどんでん返しされ、
すべての伏線がつながったときの快感は今でも忘れられません。
まとめ
映画や漫画、小説とさまざまな媒体があり、
私はどの媒体から見ても良いと思います。
しかし、小説の面白さは自分から読まなければ進まないというところにあり、
推理要素も能動的なものが求められます。
順番は前後するにせよ、
最終的には十角館の殺人を文で味わってみてはいかがでしょうか。



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