見よ、わたしは契約を結ぶ。
わたしは地のいずこにも、
いかなる民のうちにも、
いまだ行われたことのない不思議を、
あなたのすべての民の前に行うであろう。
あなたが共に住む民はみな、
主のわざを見るであろう。
わたしがあなたのためになそうとすることは、
恐るべきものだからである。
旧約聖書 出エジプト記 第三十四章 十節
十戒冒頭より
本の基本情報
タイトル:方舟
著者:夕木 春央(ゆうき はるお)
出版社:講談社
刊行年:2025年(講談社文庫)
ジャンル:ミステリー
受賞・評価:
・2023年「 このミステリーがすごい!」 第36回 第13位
・2024年「本屋大賞」 第21回 第42位
・2024年 「うつのみや大賞」 第13回 候補
おすすめな人
ミステリー×どんでん返しであり、前作の『方舟』を読んだ方は必ず読むべき本となっています。
逆に言えば、まだ『方舟』を読んでいない方は一旦足を止めて、『方舟』を先に読みましょう。
この順番を守ることで、どんでん返しの威力が数倍に跳ね上がることでしょう。
漫画化
2025年11月時点では、まだ書籍化しておりませんが、ガンガンonlineとマンガupで連載されていました。
主人公と他の登場人物の印象が小説の雰囲気とピッタリで、小説で印象的だったシーンが気になります。

感想
クローズドサークルの作り方
方舟と十戒は、どちらも面白くクローズドサークルの作り出し方秀逸です。
その上で、犯人を見つけてはならないという条件を成り立たせる人間の心理の使い方の上手さに感銘を受けました。
現代のミステリーのクローズドサークルはスマホなどの情報機器があり、嵐で電波が悪くなったり、警察の到着が遅れるといった風に、外的要因が用意されることが多々あります。
しかし、今作はスマホ自体は一定時間封じられるのですが、電波が普通に届き、家族や仕事の連絡をします。
これがあることで、例え孤島で殺人が起きて、滞在時間が伸びても、その匙を伝えることができ、外からは異変に気付くことがなくなるのです。
方舟との違い
方舟のタイムリミットを決めるものは、水であり、人が操作できるようなものではありませんでした。
そして、十戒ではそれが爆弾であり、いつでも爆発が可能であるという脅しになります。
この脅迫が可能であるからこそ、十戒という異質なルールの存在を許し、冷静な行動が求められます。
加えて、登場人物たちの関係性も前者ではサークルの友人と巻き込まれた家族であり、後者では仕事の関係でした。
この仕事の関係というのも、一定の距離間があり、かなり全体が見やすいと感じました。
どんでん返しの衝撃度
これは本当にとんでもないです。
どんでん返しが2つくらいありましたが、最後のシーンがハッとさせられました。
あまり多くを語るとネタバレになってしまうのが、残念なくらいです。
まとめ
クローズドサークルというジャンルにマンネリ化した人にこそ、あらすじを読んでほしいです。
そして、現代のどんでん返しムーブメントに乗りながらも、ミステリーの良さがわかり、読了後の衝撃に余韻に浸ることができるでしょう。
爆弾、クローズドサークル、殺人、孤島、十戒、どんでん返しなどの中で一つの要素でも興味がある方は、是非手に取ってみてください。

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