AIの台頭を考えるには、SF視点から見るべきである。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をネタバレなしで紹介

本の基本情報


タイトル: アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

著者: フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick)

出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫SF)

刊行年: 1977年

ジャンル: SF小説

おすすめな人


AIかSFのどちらかが好きであれば、楽しく読むことができると思います。

SF要素としては、火星と地球が舞台であることやドラえもんの秘密道具のような未来ガジェットが魅力的で、スラスラ読めます。


そして、AI要素はアンドロイドであり、AIをある程度知っている人にとっては現在のAIとの対比が斬新だと感じると思います。


SFやAIという少し敷居があるような気がしますが、子供のときにウルトラマンやドラえもんといった作品が好きだったのであれば、気軽に手に取ってほしい本となっています。

映画「ブレードランナー」の原作



この本は表紙にある通り、ブレードランナーの原作となる本になっています。

この映画にはいくつかのバージョンがあり、最後に作られたファイナル・カットが一番おすすめされています。

そして、この映画と原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」では、内容が異なるそうなので、続編となる「ブレードランナー2049」を見る際は映画を見る必要がありそうです。


他作品の引用やパロディ


wikipediaを見たら題名をパロディにした作品の多さが分かります。

およそ32個のパロディがまとめられており、意外にもポケットモンスター(無印編第30話『コイルはでんきネズミのユメをみるか!?』)でも使われているのが興味深かったです。

これからもパロディされ続けるタイトルだと思うので、目を光らせておきたいところです。

感想

SF小説の面白さがわかる


私は普段SF小説を読まないため、この本を読むのにも抵抗がありました。

しかし、実際に読んでみると、その不安はすぐに消え、読了後は他のSF作品も調べて読みたい本リストに入れてしまいました。

そのくらい、アニメや映画に引けを取らないほど文章で感じ取れるおもしろさが癖になります。


特に、この作品が地球と火星が舞台であり、我々がギリギリ理解できる壮大な範囲でアンドロイドと人間というテーマが語られているため、初心者にとって足を踏み入れやすいというのが理由なのかもしれません。

厨二病心をくすぐる未来の道具


物語の冒頭からムードオルガンという未来の道具が登場します。

このムードオルガンとは、簡単に言えば気分を調節できる道具です。これが仕事のやる気を引き出したり、楽しい気分、憂鬱な気分など自由自在に操ることで、人間の生活スタイルというものをコントロールできます。

この機能が快適さと共に機械的であるために、人間を一つアンドロイドに近づけているようにも感じました。


他にもいくつか道具が登場し、便利さに伴う問題は一旦置いておいて、子供心にわくわくしながら読んでいました。

二人の主人公によって、アンドロイドの印象が変わる


本作では、リック・デッカードとイジドアの二人の視点をもとに話が展開されていきます。

この二人はアンドロイドに対してそれぞれ異なる見方を持っていて、追われるアンドロイドへの同情と彼らが殺される理由がわかり、二人の主人公にそれぞれ感情移入することができます。

現代のAIから見た作中のアンドロイド


AIを開発する上で、AIとのインターフェースになるのが数学だと思います。つまり、私たちは人工知能に対して、本質的にAIが感情を持つことを判断できず、それがただの記号でしかありません。

これが人間とアンドロイドの境界を作り、作中では感情移入反応テストを使い、彼らを識別します。


しかし、現実には彼らがその識別に対しても学習が行う事が出来てしまうという状況がこの境界をさらに曖昧にしてしまいます。

時代と共にこの境界が曖昧になる中、彼らに人権を持たせるべきかや社会的立場をどうなるかなど私たちがこの命題を考え続けなければいけないものだと思いました。


まとめ


現代人にとってAIの進歩はブラックボックス故に、その発展が恐ろしく感じる側面を持っていると思います。

だからこそ、現実的な問題をSFという一つ上の階層をもって俯瞰して考えていきましょう。



AIやSFに興味がある方は是非手に取ってみてください!

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
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