本の基本情報(タイトル・著者・ジャンル)
- タイトル:禁断の罠
- 著者:米澤穂信、新川帆立、中山七里、結城真一郎、斜線堂有紀、有栖川有栖
- 出版社:文藝春秋
- 刊行年:2023
- ジャンル:ミステリー、アンソロジー
おすすめな人
有名な著者の本が読みたいけど、誰を読んだらいいかわからない人におすすめです。
・米澤穂信
・新川帆立
・中山七里
・結城真一郎
・斜線堂有紀
・有栖川有栖
の6人の短編が集められており、それぞれ違った魅力があります。
中山七里「ハングマン ー雛鵜ー」は続編!!
読んだ後に気づいたのですが、これは「祝祭のハングマン」の続編の話でした。
でも、これを読んでいなくても、全然楽しめました!
この短編の冒頭に登場人物の説明が書かれているので、
恐らく前作を知らなくても問題がないようにしていたのだと思います。
感想
ヤツデの一家
主人公を取り囲む人間関係と欲望の渦が因果を巡っていて、恐ろしかったです。
ヤツデとは、「ウコギ科ヤツデ属の白い花を付け、黒い実を付ける常緑低木」です。
本文中にもその性質がされていて、このタイトルの意味がわかります。
大代行時代
どんでん返しもよかったですが、終わり方が個人的に好みな終わり方をしていました。
最近話題の代行業と一つ上の世代から見たz世代の印象が明確に描かれており、リアルでした。
仕事の話から物語が展開されていくので人によっては、仕事を思い出して辛いと思います。
妻貝朋希を誰も知らない
妻貝朋希がスプーンを舐めている迷惑動画の炎上について、元クラスメイトや先生たちに取材していきます。
ただ物語が進行しているのではなく、妻貝朋希を知っている人物からのそれぞれの印象が語れています。
それが外から見た妻貝朋希の人物像がだんだん見えていき、ヒトコワでした。
結末はかなり胸糞な話でしたが、
部分的にあり得そうなことで私たちが知らなければいけない問題だと思いました。
供米
状況設定と伏線がすごくよかったです。
詩人 小此木春節の遺稿の謎を追っていく話で、
いかにも詩人らしい彼が人間に対して思う気持ちが、どんでん返しと共に美しくまとまっていました。
ハングマン ー雛鵜ー
先ほど言った通り、この話は続編でしたが問題なく楽しめました。
主人公が、比米倉という特定屋で、コンピュータが好きな人なら絶対に刺さると思います。
例にもれなく、私も刺さったので、前作も読む予定です。
ミステリ作家とその弟子
どんでん返しも面白いのですが、一番はこのミステリ作家と弟子の掛け合いがとても興味深かったです。
その掛け合いは、ミステリーがどのように作られていくのかがわかり、
簡単なストーリーが重厚になっていくので、ミステリ作家の凄さがわかりました。
まとめ
これを読むことで、それぞれの作者の個性や魅力に触れることができます。
もちろん、この一冊だけで作家のすべてを知ることはできません。
しかし、読書の入口としては十分に魅力的であり、入門書的な立ち位置としておすすめできる一冊です。


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